ヘラヘラ笑い(道化よろしく)、半分 途方に暮れていた 先日。
路上にいたのは、美しい生き物(カマキリ)。
もしも 私が、前だけを見て(遠くの目標だけを見て)、軽車両で暴走していたら、
カマキリを、踏み潰していたかもしれない。
ヒトノコより、カマキリに 親しみを感じる 私とて、
カマキリが 死角にいたら、殺傷しかねない。
カマキリは小さく、ヒトノコ(自分)は 重い。
先日 私が、カマキリと、平和に出会えたのは、
私が、空腹に慣れていたからだ。
(空腹も 捨てたものではない?)
(道路を横断中の 虫を踏み潰す 不愉快を、…回避できた)
手袋をはめ、道路に かがみ込みながら、私は、
つかの間 迷った。
(背中をつかんで 持ち上げようか?)
否、カマキリの脇から 手を近づけ、
彼の方から、手袋に乗ってくるのを待った。
道路にしゃがんで 虫と遊んでいたら、
自分(ヒトノコ)も また、通りがかった自動車に、踏み潰される 可能性があった。
(幸い、カマキリが 手に乗るまで、自動車は やって来なかった)
…私は 長い間、休むことが叶わず、死にたかった。
…休めないのなら、死にたかった。
車道に佇む (疲れ果てた)カマキリと、
休めなくて 死を願い続けた ヒトノコ(私)は、同類だった。
手塚治虫先生が、ブラック・ジャックに与えた 黒星(失策)を、私は 思い出す。
患者は、【休みたくて、自爆事故を起こした少女】だった。
ブラック・ジャックは、彼女の 心を診ず、体だけを回復させ、
彼女を 死に追いやる。
天才の、おごり(油断)か。…
回復して、引き取られてゆく少女は、
何度も ブラック・ジャックを振り返り、
「先生…」と、つぶやいていた。
翌日、自殺することを、わびるかのように。(泪)
『おごれる先生』も、『馬車馬のような、息つく暇なき労働者』も、
漫画の中だけでたくさん!
あの日、疲れ果てたカマキリを、私は、
強引に『助けよう』とは、しなかった。
莫迦みたいに 道路に這いつくばって、彼(カマキリ)の 下僕のように、身を挺した。
あれは、見る人によっては、
莫迦げた 戯れ だったろう。
でも、私には、何か 啓示のようだった。
虫1匹でも、相手の命を尊び、
「無駄死に させたくない」と、思ったなら、
われを忘れて(命を惜しまず)、相手の意を汲むべしと。
相手の意に添わない『救助』を 強行すれば、相手の怒りを買い、逆襲されるのだと。
(あの日は、鎌を 突き立てられた)
弱っていても、相手は 奴隷ではない。
意思もあれば、尊厳もあるのだった。
虫でさえ、そうなのだ。
まして、ヒトノコであれば。
ヒトノコが 自尊心をなくし、自己犠牲の罠に堕ち、…
疲労困憊していて、…
あろうことか、攻撃してきたとしても、…
「相手の力になる」
「相手の回復する力を信じ、それを支援する」と決めたら、
迷わず、相手の乗り物、踏み台に なるべしと。
そして、感謝の言葉や、恩返しなどは、ゆめゆめ期待せず、
ただ その出会い(戯れ)を、よろこぶが良いと。…
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