パートタイマーの昼休み。
立冬の頃、午後4時過ぎ。
路(アスファルト)上に たたずむ、褐色の大カマキリに出会った。
(道路を横断中?)
微動だにしない。
(こんな処で 休んでたら、車にひかれてしまう)
軽車両を 路肩に停めた ヒトノコは、綿手袋をはめ、道路に かがみこむ。
カマキリの両脇から、両手の平を近づける。
腹部だけ、鮮やかな黄緑色だった。
手袋に乗ってきた カマキリは、…じっとしていない。
ヒトノコの 右手から 左手へ、また右手へ、…
大きな前足(カマ)を、地肌に 突き立てられたくない ヒトノコは、
カマキリが、手袋を乗り越えようと(上腕に這い上がって来ようと)するたびに、
もう片方の(手袋で覆った)拳や指先を、カマキリに 差し出す。
(カマキリが 動き続けるので、延々と 繰り返した)
前カゴに 重いバックを乗せた 自転車を、片手で操作しながら、…
動き続けるカマキリを 護送(?)する真似を 続けていたら、
休み時間なのに、疲れてしまった。
(自転車を 手で押して 歩きつつ、右手には 動きまわるカマキリ)
線路脇の金網から、草花が はみ出していた。
ここでどう?
「・・・」
金網に移った カマキリは…
(不満足そう)
ヒトノコが 適当に選んだ場所で、固まっている。
ヒトノコが 見上げる位置(地上160センチ弱)に、留まったまま。
(気に入らないのね?)
再び 右手に移して(乗せて)、軽車両を 杖にして、歩き出すヒトノコ。
(あたっ)
手袋してても、手の甲に、大きな 前足(カマキリのカマ)が 当たり、痛い。
(さっきまでは、痛くなかったのに…)
(線路際の金網に 立てかけられたのが、よほど不快だったらしい?)
しばらく行くと 畑があり、道路脇に ツゲの生け垣があった。
(ここでいい?)
手を差し入れてみる。
(良かったらしい)
早速、垣根の奥に、移動するカマキリ。
(ほっ)
荒れはてた庭(に 見えるが、実は、災害時の アパートの避難用通路。草花や野菜を 繁茂させては、いけないことになっている場所)に、
久しぶりに 足を踏み入れたら、…
物干しの下の たたき(コンクリート)の裂け目から、白花菜(ギナンドロプシス)が 咲いていた。
最近、布団は 室内に干し、洗濯物は 台所に干し、洗濯機は使わず、南の窓は 閉めきっていたので、…
この 愛しい夏草が、(1株だけ)育っていたことを、知らずにいた。
花の盛りは 過ぎていて、インゲンを小さくしたような実が、青々と伸びていた。
このコンクリートの裂け目に、
過去、何度か 白花菜は 芽を出したが、殆どが 大きくならずに枯れた。
(根が深く、充分に張れないと、育たない)
厚いコンクリートの わずかなヒビ割れから、
立派な 白花菜を、拝める日が 来るとは。…
(去年もだったか?)
今年の夏は、軒下をドクダミが占拠していた。
(完全に除草してしまうと、土が剥き出しになり、ホコリっぽく、見た目も殺伐となるので、災害時に困らない程度に、緑の絨毯にしておきたい 住人のエゴ)
プランターに(白花菜の)種を蒔く ゆとりもなかったから、…
今年は、この花を あきらめていた。
(思いがけず会えて、うれしい)
「カポカポ」
「アワワ」
「ア〜ア」
カラスの声、面白すぎ。
(笑ってしまう)
ピョンピョン、跳んで歩く雀。
(楽しそう)
民家の前に 置かれた、自転車の前に 座っていた、尻尾の長い黒猫。
(絵になるなぁ)
楽しい奴等よ、ありがとう。
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