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2015-05-22(Fri)

黒い波

子どもの頃、『赤い沼』と云う漫画を、友人から借りて読んだ。
鬼子母神の祟りみたいなホラーで、陰惨な場面が印象的だった。

鬼子母神を祀る祠の中には 悪鬼が封じ込められていた
捨て子だった孤独な娘が、
旅人に恋心を抱き、その男のために 祠の扉を開けてしまう。
そして惨劇が始まる……

私は、ホラー小説も スプラッター映画も、どちらかと云うと嫌い。
あの漫画も、好きだった訳では決してない。
でも、何故か忘れられなかった。

そして、何十年も経ってから 思い知るのだ。
あの娘は、殆ど私のようだと。


大津波が東日本の海岸を襲ったときに、
私は、自分の中の怒りが、津波になってしまったような気がした。

暴力・暴行の被害を受けても、かばってくれたり助けてくれる人はなく、
自業自得とか自己責任とか言われ、
優しくされるどころか、あざ笑われたり

それでも、グレたり群れたりする気力はなくて、
1人で何とかしなきゃならなくて、
親に殺される寸前までいったときに、抵抗してしまった自分が許せなくて、
そのときに破綻した心、成長が止まってしまった心を、
心以外のもので必死で補って

ずっと『感謝』を自分に強いたり、
休み方が分からなくなるほど、頑張って働いたり、

何度も『SOS』を、
先生と呼ばれる大人や 成功してて余裕がありそうな人に 出し続けてきたのに、
そういう、本来なら、人を 励ましたり 勇気づける立場に いるはずの人が したことは、

『努力が足りない』とか『気にしすぎ』だとか、
『もっと大変な人がいるのに甘えるな』とかの、薄っぺらい言葉をくれて終わりだったり、

金だけは たくさん奪っていき、ひどい奴は罵声を浴びせ、
休ませてくれた人は いなかった。
(一息つかせてくれたのは、自分も 大変な苦労をしているような人ばかり)

だから、怒りのエネルギーを、私は、極限まで溜め込んでいた。
弱ったものを踏みつけて笑っていられる 人間(日本)社会への怒り

それが、あのような大津波となって あふれ出てしまった気がして
申し訳ないと感じた。
(苦労している優しい人にまで、見境なく襲いかかるなんて)

それは 自意識過剰だろうと、
私に そんな力が あるはずないと、理性は考える。

だけど、
私の思い過ごしでは、なかったのかもしれない。

弱者に社会の矛盾を押しつけて、死ぬより苦しめ続けていたら?
そんな弱者の怨念が、国土を覆うほどに集まったとしたら?
それが 天変地異を引き起こさないと、誰が言える?


4月の上旬に、NOPの方に付き添われて役所に行き、
生活保護の申請をして、受理された。

数日後、家に調査に来た ケースワーカーと 婦人相談員に 私は、
「経済的に困窮しているが、もっと困っているのは、
 自分の心身と頭、判断力が低下していること」と言った。

恥を忍んで
被虐待の後遺症で、頑張り過ぎても、休めないことや、
自傷行為・希死念慮に苦しんでいることも告げた。

アパートの家賃が、5万3千円という生活保護の基準額を超えているので、
転居を勧められた。
『転居費用は支給される、でも、冷蔵庫や 洗濯機を買う お金は 出ません』
と言われた。

休める環境に、早く移りたかった。
25年も住んでいるアパートは、入居した当時から(!)床板が弱っていた。
床だけじゃなく、トイレも 風呂も 窓も傷んでて、安息には程遠い。
畳の部屋も 板の間も、書類や資料の山になっていて、
布団を敷くのにも 障害物が多くて、遭難しそうになる。

『洗濯機や 冷蔵庫が欲しいなら、保険の解約返戻金で買えばいい』
そのように、ケースワーカーと 婦人相談員に助言されたので、
私は それに従い、申請を保留にした。
しかし、保留というのは、実は『取り消し』だった。

結局、転居先も決まらず(基準額が、相場より安すぎるから)、
解約返戻金は、
約2ヵ月間の生活費と メガネの修理代で消えてしまった。
(洗濯機も 冷蔵庫も 買えぬまま)

その間、ケースワーカーは何も(新たな申請書類を用意することさえ)せず、
婦人相談員は、不動産屋を 何件か まわっただけ。

こちらから電話しても、
出張中ですとか、電話中ですとかで、行き違い。

なぜ、対応が遅い(再申請の手続きが、全然 進まない)のですか?
電話で ケースワーカーに問うたら、
『申請の意思が確認できなければ、進めることはできませんから』ですと。

保護を保留(便宜上 取り下げ)にしたのは、
ケースワーカーである あなた達のアドバイスで、
「洗濯機と冷蔵庫を買うため」だったでしょう?

いつ それが、
『申請の意思が不明』に(あなたの脳内で)すり替わったのですか?

「あなた方2人に騙されて、資産を無駄にしてしまった気がする」
そう言った私に、

ケースワーカーは、嫌悪感を隠せないと云った 怒気を含んだ声で、
『明日 連絡します』と言った。

どれだけ忙しいのか知らないが、客観的に見て、
私に対する あなたの仕事は、手抜きだったのでは?

このような、
信頼関係も築けなかった ケースワーカーや 婦人相談員に、
世話になるしかないのかと思うと、暗澹としてくる。

私に 演技力があればいい。
こんなひどい現実は、芝居とでも思わねば 凌げない。



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