『桃色の定義』は 美しい
【1個の お伽ばなし】かも しれない と云いながら 披露する比喩が、
まばゆい光を放つ、すずやかな 神話のようだ
真夏の森の中 1人の木こり(若者)が、
仕事に没頭して、汗をたくさん流した後で、
休憩する。
汗をぬぐったとき、
木洩れ日のかげを、風が吹き抜けて、
彼の全身の汗を、乾かしてくれる
たとえようのない爽快感、深呼吸した彼は、
自分を包む森全体を、
明るく光りかがやく世界を、抱きしめたくなる。…
…そう云うのが、真の、健全な性欲だと、
…三島さんは言っているのだ。
…異論はない。
「鍵のかかる部屋」では 作家は、
主人公を、夢の中の酒場で 笑い者にしていた
…と記憶している。
不健全な劣情を、妄想(観念)に とどめて楽しむ酒場で、
こともあろうに、
『少女を傷つけた』などと、告白したから
…だったと思う。
妄想に とどめるなら『悪趣味』で 済むが、
現実社会で 子どもを害したら、『卑怯な犯罪者』だ。
現実の少年や少女を、
不健康で陰惨な 自分の物語に 引きずり込むなんて、
恥ずべきことだ。
自慰行為を人目に晒す以上に、恥ずかしいことだ。
もし、そう云うことを、現実に 遣ってしまったら、
犠牲者(快楽のために殺傷された人)は、
理不尽な暴力への怒りや、恐怖のために、
身体を失っても、泣き続けるかもしれない。
優しく あたたかかったであろう 少年(少女)
家族や 友人、近隣の人々の
悲しみ、怒り、苦痛、喪失感、絶望、衝撃も、
はかりしれないほどに 大きく 重い。
たとえ命が助かっても(私のように)…
人間不信や、自己嫌悪や、無価値観や、やり場のない怒りによって、
何十年も安眠できず、
心から笑うことも 出来ないかもしれない。
いやしくも、三島さんの世界に招かれた日本人(成人)ならば、
自慰行為を他者に披露するよりも、もっとずっと 恥ずかしいことを 繰り返すのではなく、…
『健康な価値観を涵養したいから、助けて下さい』と、
手当たり次第に(大人の人に)懇願してみよう。
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