この児 棄てざれば この身 飢ゆ
捨つるが是か 捨てざるが非か
人間の恩愛 この心に迷う
哀愛禁ぜず 無情の涙
復児顔を弄して 苦思多し
児や 命なくば 黄泉に伴わん
児や 命あらば この心を知れよ
焦心頻に属す 良家の救い
去らんと欲して 忍びず 別離の悲しみ
橋畔 忽ち 驚く 行人の 語らい
残月 一声 ほととぎす 啼く】
「ひもじさ には、体の飢えと、心の飢えが あるけど、ヒトには 違いが 分からないのかな? にーちゃん」
『腹一杯 食べる 野の鳥なんぞ おらんのに、ヒトは 飲み過ぎたり 食べ過ぎて、たまに 戻しよるもんなー』
「食べ過ぎが 癖になると、元気で いられないのでしょ?」
『心の渇えを 放っておくと、そんな 生き物の 掟も、忘れるらしい』
「僕等の親は、子育てしないけど…」
『俺等は、養い親の 卵を、巣から落として、皆殺しにするが…』
「カッコー」
『いや、俺等は ほととぎす…』
「必要以上の、無益な殺生は しないよね」
『しない』
…なんて会話を、何処かで 聞いたような気が、しないでもない。
散々 私を殴り、
『この子(てんてこ舞い舞い)が 生まれた為に、夫が おかしくなった』
『この子(てんてこ舞い舞い)さえ いなければ、…殺してやる』と、母に思わせた 人物(父)が、
絵本を 買ってきて、末っ子に 読んでいたのを、
赤子だった 末っ子は、覚えておらぬ らしいが、…
私は 覚えている。
否定され、殴られ、無視されるのが 日常で、
健康な 精神状態の 子どもでは、なかった。
心の綺麗な 子ども でも、なかった。(断言できる)
けど、
…私には、理不尽なだけの 人物にも、
…人(末っ子)を 無条件に 愛する心が あるらしいことは、
…私にも 分かった。
(きょうだい なのに、何故、待遇が 違うのか?)
…などと 云うことは、案外、考えなかった
(そんな思考力は、なかったらしい)
けど、 心は 真っ黒で、飢えていた。
…だから、恩愛を 見つけ、それを 心の糧に したのだろう。
(そうしなければ、生きられなかった と思う)
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