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2014-08-15(Fri)

憧れの人

 
「刻苦勉励、息つく暇なき 長距離ランナーの疾走が、ここに完結」

「僕の歯抜けの唇が、君の唇にくっつかなくても、君を愛していたと言わずにいられない」

…そんな、武田泰淳の(三島由紀夫への)追悼文を 思い出したのは、
ある人のメールを読んだとき。


◆ その人とは、
キャリア支援者(就職・転職を望む人に、助言や情報提供できる人)を養成する 訓練校で、出会った。

月10万円の給付金を得て、
『半年間、勉強と就職活動に専念できる』と、
生き生きしてる人が多かった場所。
(身内の介護など、皆さん、いろいろ ありながらも)

給付金を受けられぬ私は、
夜 コールセンターで働きながら(ろくに眠らず)、
長距離を通うだけで、精一杯。
友人を作る余裕は なかった。

別に良いのだ。
友だちを作るために 学校に行った訳じゃない。
コールセンターを辞めるのが目的で、
学校は その手段だったのだから。

本当は、昨年の10月の契約を更新せず、
転職したかったが、叶わなかった。

でも、
ろくに 挨拶も返ってこないような人の下で働くのは、もう嫌だった。

仲間外れにされて、
右往左往している 立場の弱い人間が、弱音を吐いたら、

責任者に、
『いやなら辞めればいい』
『辞めない理由が分からない』などと言われてしまう、
(…責任者って云っても、正社員じゃない方には、
私には分からない 大変さが あるかもしれないけどさ…)

そんな職場に、
しがみついていたくなかった。

職業訓練校に行くことで、
週20時間以上は 働かない契約になった。

完全には 辞められずにいるけど、
健康保険、雇用保険の対象外になった。

目的の半分は、達成できたし、
今年の初めには、会いたかった人にも会えた。
(長期療養から復職したその人と、間近で、顔を見て挨拶できた)
もう、思い残すことはない。


◆ 訓練校では、さまざまな授業があったが、
(心理分野だけでも 先生が5人以上)
私は、メンタルヘルス・マネジメント(心の健康管理)に 狙いを絞り、
その検定(Ⅱ種)試験に やっとの思いで受かり、
卒業論文のテーマも「心の健康管理」で通した。

就職に成功した人、
産業カウンセラーを目指す人、
キャリア・カウンセラーの資格を目指す人、
…さまざまだった。

成績優秀で、
カウンセラーとしての力をつけるための講座に通い、
(幾つもの資格試験を控え)
家庭人としても 責任が重い。
(その人の手を 必要とする家族が、複数いる)

…そんな人が、何故 私と、
…卒業後に、メールを 遣り取りしてくれたのか?
…うれしかったが、謎だ。


◆ 小学校でも、中学校でも、
魅力的な人がいた。

何故か そう云う人と、私は、
お互いの 心に触れるような、
1対1の 時を 与えられたが、…
数年後には、音信不通になった。

(憧れの人は、
思い出の中に しまい込み、
こわさぬように 触れずにいたい)
そんな気持ちも、私には根深くあるが、…

中学の時の人とは、
(私が 卑屈でなければ、友人で いられた) ような 気がする。


◆ もう 後悔したくないから、
カウンセラーを目指す その人との縁は、
大切にしたいと思った。

カウンセラーの 助手の 卵を育てるような、
心理学の予備校で、学んだ。

先生に 褒められるような人ほど、
先生と同じ『リスク』があると、私は感じた。

…クライアントの心を踏みにじり、死に追いやる可能性を 忘れちゃダメだと。
…謙虚でいることを学ばない カウンセラーは、危険だと。

なぜかと云うと、
カウンセラーの世界には、死角があるから。
タライまわしや、責任逃れが可能なのだ。

忙しさや、
専門外であることを理由に、
責任逃れができる。

そう云うことを 恥と思わない方が、
先生として、教えてることもあるからだ。

…そうでしょう?
…N村M彦さん。

貴殿が 私にしたことは、
(勉強会に 熱心に 誘いながら、
弟子の暴走(嫉妬と嘘)を 見抜けず、抑えられず、
ボロボロに傷ついていた私を、
木で鼻をくくるような言葉ひとつで 排除した)

…貴殿の業界では、
…とがめられることでは なかったようですね。

心の専門家と云いながら、
利害関係者と自分と、身内の心しか見ない。
それで 許されると思ってる、

…そんな世界の、
…貴殿は王様だったのでしょう?


◆ 上手く伝えられないけど、
クライアント(弱ってる人間)から、
こたえを引き出すのは、
カウンセラーの特権では ない。

悩める人にとって、
1番まずいのは、孤立だ。

孤立の解消は、
カウンセラーじゃなくてもできる。

友人でも、隣人でも、家族でも、森の木でも良い。
むしろ その方が望ましいと、私は思う。

【謙虚さ】を失った カウンセラーは、
死神と同じだ。

そのようなカウンセラーは、
健全な 人間関係を必要としている クライアントの、
【希望の光】に ならない。

問題が複雑でも、
【目の前にいる人を 生かす】ことを、
最優先に 考えて戴きたく思う。

カウンセラーにしか 解決できない問題?
そんなものはない。

その人には、
カウンセラーである前に、
【どうすれば 目の前にいる人を 生かせるか】を、
考える人で いてほしい。

私が美しいと思った その心を、
何より 大切にして戴きたく思う。

【心がひろく 優しい人】である姿を、
弱っている人に見せて、
【安心】させる人で あり続けてほしい。


◆太宰治 ゆかりの地に 流れつくまで 私は、
三島サンに 憧れていた。

彼の勤勉さ、
恥を知る心、
礼節を愛する心、
お子さんを肩車している写真、
素の言葉、…
(暴露小説に書かれた 裏の顔さえ、心の美しさを現わすものだった)

私が幸運だったのは、
(彼の小説を理解できなくても)
彼を愛した人たちの言葉に満ちた本を、
手に取れたことだろう。

武田泰淳氏や、
ドナルド・キーン氏のような、
魅力的な人が いることも、
三島サンから 教わった。

私は 三島サンより、長生きしたけど、
まだ 肝が坐らない。


◆ 昨日は 木曜日、
夕方4時50分頃、
詩人(アーサー・ビナード氏)が、ラジオに出る日で、
1週間に1度の楽しみだった。

先日、警備隊の上司が、部隊長に電話をしていた。
『訓練が必要です。
彼女の都合を確認し、
良いと言ったら、
木曜日に早出してもらって、実施します』

電話を切った上司は、
『木曜日、早出して』と 私に命じた。

早出したら、ラジオが聴けなくなる。…
週に1度の 部下の楽しみを奪った 上司の強権発動が、悲しかった。

相手の都合を聞かず、
私的な時間に 仕事しろと命ずるのは、
「確認」ではない。
「権威の誇示」である。

私は、3週間 休みなしで、
5連続夜勤+2晩連続コールセンター勤務+2連続夜勤の明けだった。

翌日は 休みだが、
1日だけでは、回復しきれないくらい、
疲労困憊していた。

そんな私に、
1時間早く出勤せよと命じることが、
よくもできますな。

その人は、親切な人で、
善意が暴走したのだ。

25時間勤務や、36時間勤務で、
脳が疲労しておいでなのだ。
…確認と、命令の違いも、わからないほどに。
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