ヤケクソだから、笑っていられた。
『あなたが選んだ道だと』と、何度も言ってくれたね、春樹君。
よくもそんなことが言えるね、この私に?
他の、まともな選択肢があったのなら、
こんな馬車馬みたいな人生を、選んじゃいないよ。
いい加減なことばかりが、私の耳には聞こえたので、
私が、あなたの誘いに乗ることは、まずないでしょう。
『週に何回か、夜の商売をしながら、辻占を遣れば、
3年くらいで、本も出せる。
それくらいの目標を持たなきゃ』て、あんた。
喉が弱ってて、紫煙が苦手な私に、
酒場の酌婦は無理だろ。
それに、私は男女のこと(色)に関しては、一家言あるのだ。
『酒を注ぐだけで、身体を売らない』
そんな商売が成立していることが、私にはよく分からない。
娼婦というものの意義なら、分かる。
でも私に、その真似が出来る筈もない。
自分の肉は、売り物にならないと思っているのだから。
私は、見なくてもいい闇を見たのか?
…そうは思わない。
闇を勢いづかせるのは、
油断や孤立、不寛容さや傲慢さだと私は思っている。
クタクタで、もう注意力が追いつかなくて、
気を張っていても、油断してるのと変わらない状態かもしれない。
…これは、今は、どうしようもない。
孤立も、しているかもね。
こんなに疲れて、
足が、生まれたての仔馬みたに、フラフラになってても、警備員の仮装を続けている。
『休めば』と、非難がましく言う人はいても、
その手段を伝授してくれる人や、資金を援助してくれる人が、
ただの1人も、まわりにいない。
Rさんが、苦しい家計の中から、宝くじを10枚買って送ってくれたのは、
有り難かったな~
100円しか当たらなかったけど。
お礼に送った 200円の宝くじ(スクラッチ)が、当たってたら愉快だな。
笑うしかない。
せめて、寛容になるしかない。
自然や、もの言わぬ小さいものを、大切に思う心だけが、
今の自分を支えている。
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