『今夜は すごい』
『圧倒された』
『しびれた』などと言う 声がした。
第2部、第3部が終わると あちこちから、
『今夜は得したわ』と云う ささやきが聞こえた。
しますえ よしおさんの 素晴らしい絵(水彩画と油絵)が たくさん見られて、
3人以上の アーチストによる ショー(歌と伴奏)に 飲み物つきで、4千4百円。
いつ来ても、「お得」に 決まっている。…
(とても渋い私が 言うのだから、間違いない)
それを、あえて『今夜は 得した』とおっしゃる?
市井の人の 暮らしの厳しさが、こんなとこにも(夢を見るための空間でも、言葉に) 現われてしまう?
あの晩の ステージの素晴らしさは、
素人が 言葉に表わせるような レベルでは、なかった。
下手に書いたら、申し訳ないような。…
素人らしく 素直に、
見たこと、聴いたこと、感じたことを、
整理して 書けば 良い(ゆるされる)のか?
箇条書きに?
文字制限のある ブログ(全角2千5百字)では、到底 書ききれない。
けど、何も書かなければ、
厳しい IT環境の下で(容量の小さい PHS 1台で)、ブログを管理している 甲斐がない。…
だから、見て、聴いて、感じたことを、
無理を承知で、2千5百字に 詰め込む。
第1部は、
歌が始まる前の、ピアノと ベースギターの 演奏から、ドラマチックだった。
朝吹タツヤさんの「ドミノ」の 歌詞に、
(ゆるさん= 許そう? 赦す?)
…葉っぱで作った 小舟のような、人だか何だか よく分からない私も、
(ゆるされる かもしれない)気がした。
人には 自然の恵みだけじゃなく、言葉も必要なのだ。
それも、美しい言葉や、優しい言葉、寛容な言葉が。
義務から発した 美辞麗句や、事務的な言葉を 使うだけでは、
人は 元気になれない。
自然で つくろわない言葉、美しい言葉が、
人には、必要なのだ。
(周囲の要求に 応えきれない…
わざわいの種のように 見られることもある…
誠実であろうとして、報われず 汚れてしまった自分も、…
許され 清められる かもしれない。
そんな、幸せな(錯覚のような?)瞬間を、繰り返し 味わうことで、
泥だらけの心も、いつか、洗われる かもしれない)
「人生の扉」と云う歌も、素敵だった。
華やかで切ない、花のようで。
圧巻は、しますえ よしおさんの「鶴」が 聴けたこと。
心底、うれしかった。
しますえさんは、キング だった。
それも、ただの王様ではない。
トランプで云えば、
クラブのキング(力)に、
クイーン(慈愛)と、
ジャック(騎士の優雅さ、若々しさ)と、
エース(英知)を、兼ね備えたような 王様だった。
昆虫のアリには、
蝶の幼虫を 巣に運び込み、育てる種が いるそうだけど、…
四谷 蟻ん子の王様も、たくさんの蝶を 育てていらっしゃるらしい。
第2部では、
朝吹さんの 港の歌と、
しますえさんの「ジョジョ」が 鮮烈だった。
朝吹さんの 海の歌には、説得力があって…
海が恋しい私には、慈雨のよう。
「ジョジョ」は、CDで聞いて 惹きつけられた歌だった。
「銀巴里」時代からの (しますえさんの)ファンから 戴いたCDに、収録されていた。
母国語(日本語)に 自信がない私には、
凝った詩(歌詞)が 分からない。
真剣に聞こう(覚えよう)としても、
難しい言葉ひとつに 足をとられ、前に進めなくなり、
詩の世界に 行けず、単語の海に 沈没して終わることが、けっこうある。(泣)
「ジョジョ」の歌詞は、私には 難解だったけど、
長い間(10年以上)、分からないままに 素直に聴いていた。
作り話ではない、かなしみや、友情(純粋な愛)が、そこにあったから かもしれない。
(察していた訳じゃなく、ボーッと繰り返し聴いて、慰めを得ていた)
今回、曲の解説が聞けて、ありがたかった。
余命宣告された 歌い手が、突然 逝ってしまった 友を悼む歌(実話!)だったとは。
(鎮魂の歌に、
私は飢えている。
穏やかな道を 歩めなくて、
それが 自分の愚かさから そうなっていて、
疲れ果てて 休めなくても、
笑うしかない人間には、
頭の沸騰を 止めてくれるものが、
必要なのだ)
(ここに「ジョジョ」の歌詞を、引用したいけど、…
その為には、ジャスラックに 毎年、千2百円 払わないといけない。
今は、
パトロンが、芸術を守り、育ててくれる世じゃない 気がする。
市井の人間が、爪に火を灯してでも、
良いものは「良い」と語り、
最低でも 3人くらいの人に 宣伝しなくては、
…と思っているので、
好きな歌のために 代金を払うのは、望むところだが、
どうせなら 楽譜も載せたい。
そうなると 金額が倍になる…
それはいいけど、楽譜は どこで 入手できる?
(ジャスラックが 貸してくれる訳じゃない)
PHSからでは、楽譜は入力できない…
パソコンを買わないと 話にならん!
…などと云う 事情により、あきらめる)
第3部では、
桜色の装いの 朝吹さんは、
雪のような、流星群のような ライトの中、
雪や星や、北国の歌を うたって下さった。
しますえさんは 黒で決めていて、
(シャツとチーフの白も 美しかった)
軽快な歌や、
「かくも長き不在」の挿入歌や、
(その映画を 私は まだ見たことがない)
カンツォーネ?
…最後に「時計」を うたって下さった。
「時計」は、魔法から醒めるのに、ちょうどいい歌だった。
美しい旋律と、切ない歌詞と、
しますえさんの声と、
ピアノの音と、ベースギターの調和。
しますえさんは、四谷の シャンソン国の国王陛下。
「群青」は うたっても、
「津軽海峡・冬景色」は うたわれない。
(けど、育てた蝶(?)が 演歌をうたうことは、容認なさっている)
客席の壁が、鏡で出来ているのは、
奥行きを出すため だと思うけど、…
多分、魔除けにもなっている。
しますえさんの絵を うっとり見ていたら、…
メデューサ(見たものを 石に変えてしまう怪物)と、目が合いそうになった。
…鏡に映った 自分だった。
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