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2010-04-21(Wed)

バレエを踊る人

パリ・オペラ座のダンサー、ミテキ・クドーさんの本が、書店にあった。

狭き門(オペラ座の バレエ学校)を通り、
若くして ペアを組んだ相手(新進気鋭のダンサー)が、人生の伴侶でもあり、
子どもを産み 育てながら、踊る仕事を 続けてきたと云う。

彼女の お母さん(パリ・オペラ座の 伝説のエトワール…ノエラ・ポントワさん)の踊りを、見たことがある。
20数年前の来日公演「ジゼル」

はじめて見る プロのバレエの舞台で(自治体の鑑賞会の 抽選に当たった)、…
気分が高揚しすぎて、ほとんど何も覚えていない。(泣)

その頃 ミテキさんは、オペラ座の 生徒の1人として、ダンスマガジンで 紹介されていた。
「工藤 美笛さん」と、書かれていたと思う。

私は この人(ダンサー)を、写真(絵になった姿)と 文章でしか知らない。

昔は、彼女のチラシを(全身タイツで パートナーと、美しいポーズを とっている写真を)、憧れの対象として、大切に持っていた。

今の彼女は、大人らしい大人。こう云う人の存在は、うれしい。(今も憧れ)
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2010-04-20(Tue)

夢物語

泉鏡花の書く女は、きりりと美しい。
そんな女が 惚れる男は、心根が美しい。

地位ある人は「弱いものの為に(私は)強い」と言い、本当に 自ら先頭に立って 飛び出して行き、弱いものを助ける。

愛する者を守り、夜叉ヶ池の お姫さま(気性の荒い辰)の心をも 動かす。

愛する女(恩人)が 道を 踏み外したときは、甘やかさず 諭し 裁き、…その愛に殉じる。

激しすぎ 色香がありすぎ。この世ならぬ美しさ。

粗暴な権力者を 憎む激しい心も、文学に昇華できた鏡花が、うらやましい。

2010-04-19(Mon)

うれしいこと 厳しいこと ぼんやりしたこと

しますえ よしお さんの 歌を聴いた。(まさかのチケットを もらった。交通費は自腹)

『音楽は ラジオか CDで 聴くもの』と 思っている、兎小屋の住人の 耳には、
伴奏が 大音響に感じられ、ときどき 歌詞(歌声)が 聴こえない 寂しさは あったけど、幸福な時間だった。

小児麻痺で 何度も手術をして、今も足が不自由なこと、
数年前に 胃がんが見つかり 目の前が真っ暗になったこと、
胃と脾臓と胆嚢を、摘出したことなどを、

歌の説明と 同じ調子で、朗らかに お話しになる。

学生のとき 立ち寄った喫茶店で、社会派シャンソン(甘くない)を聴き、心を奪われ、その歌手に弟子入りしたこと、…
はじめの頃、上手く唄えなくても、いつも友人が 20〜30人 集まってくれて(?)、ステージに立てたお話、…

原作に近い訳詞の、踊り子に 恋した男の「百万本のバラ」
「津軽のふるさと」
「生きる」
…どの歌も 素晴らしいかった、
声が暖かい。歌詞・言葉が 生きている。

立派な人(凄い人)の話や本は、私は苦手。
吾が身の 情けなさを、間接的に 叱られている気がして、…
薦められれば なおさら、近づきたくない。…

しますえさんも、凄い人。雲の上(高い舞台上)の人だけど、
凄さが 突き抜けているから?
彼の歌は、私の耳にも 素直に響くのかもしれない。

◆ 母に接すると、追い詰められた気持ちになる。

心理士の先生に 言われるまでもなく、…
ゆきしろ姫に、毒リンゴを 与えたのは、実の母。

母親が、大人に なりきれないままだと、娘に(女として) 嫉妬してしまい、
『自分より 幸福になったら、許さない』と、威嚇してしまう。

ゆきしろは、毒リンゴを 食べざるを得ない。母親を、愛しているので。

『愛を乞うひと』などと云う 小説の主人公は、毒リンゴを食べずに 逃げおおすけれど、
深刻な被虐待者は、逃げる気力・体力・知性も、奪われたり 歪められている。
(事実は小説より奇なり)

ゆきしろが 目覚めた後、
物語には、実母の処刑が 用意されている。

実母側は、自覚していないが、
やっている(娘にしかけている)ことは、ほとんど戦争(命を脅かすこと)なのだ。

ゆきしろ姫の世界は 残酷だけど、若い方を 生き残らせる。
生物としては、理にかなっているのかもしれない。

現代の 私の世界では、遠い とつくに(外国)に憧れ、足を運ぶ人も 少なくないらしいのに、
虐待事件は、オブラートに包まれ、見せ物になる一方で、減っていないような 気がする。

オブラートに包まれた 物語を見て、泪を流し 心が慰められる人も いるのだろうけど。

物語を見て、
自分も荷担している 社会の問題と感じて、改善していこうとする人が、
涙して忘れる人を、上まわってほしいと、…
そうすれば、
ゆきしろも 実母も 癒され、生き残る道が 広がるような気がするのは、変でしょうか?

◆ 献血会場で 検査にパスしたけど、寒さで手が冷えていた。

腕の下に 温かい枕が 置かれた。気持ちが良くて、献血速度も驚くほど速かった。
(そこまでは良かった)

採血用の針を抜いたら、血が どっと出た。

担当者は、(いつもの)厚い止血用の絆創膏を 当てがい、
更に その上に、ガーゼを分厚く 折り畳んだものを、貼りつけてくれたけど、

針を抜く前に、
ドナーの腕の下から、温々の枕を 外すべき…だったのでは?

2010-04-18(Sun)

スカスカの心に棲む 魔に 花束を

写真や葉書などを よく送ってくれる人に、何か お返しをしたくなった。
最近は、人の名前さえ 間違えてしまう グズグズの私でも、戴く ばかりでは 心苦しい。

安部浩之先生の SAS総合研究所の記事を、印刷して 送ろうと思い、
貸しパソコンで【Message from SHINKAI】を 印刷した。

この記事は、PHSからでも 全部 読めた。
何度も何度も 開いて読んだ。私を励ましてくれた、鬼の写真と言葉。

家に帰って 見直したら、…
2枚に まとめたために、字が 小さくて 読みにくい。

単色にしたのも 失敗だった。
鬼の迫力と、天井の木目の対比が、分かりにくい。

知人には お礼状を出し、着いた翌日くらいに、電話で 感謝の気持ちを 伝えることにした。

白黒で 小さな文字の【 Message from SHINKAI】は、私の手元に残った。

この記事を、私の血肉にしたい。
いいものは、人に推奨する(譲る)だけじゃ駄目だ。

批判的な視点で ものを見がちな私だけど、それは希望に基づいていた。
誰かの 無条件の祥(さいわい)を、願う心が底にあった。

だけど、誰に向かっても私は『努力不足』とは、言えない。
それは私が、他者から 言われ過ぎて(傷つき過ぎて)、本来の意味が 分からなくなった 言葉なので。

(だから私は【 Message from SHINKAI】を 理解しては いない)

自分を 許す過程で、適正な(健康な) 努力と云うものが、分かってくれば いいと思う。

2010-04-17(Sat)

みぞれの夜

腐っても、教育や育児については考える。
(教員免許を持っている人間の 義務として?)

先日 交番に行った。
めまいがして、深夜に1人で 外出したくは なかったけど、
以前から 気になっていたことが、その晩も起きた。
時間が経てば、また 忘れてしまうだろう自分を 恐れた。

「時々 深夜に、子どもが 泣き叫ぶ 声がする。今夜も 聞こえた。場所は、私の住所の 近くだと思う。問題が なければ 良いけど、もし 虐待だったら 怖いので、パトロールなど よろしく お願いします」

◆ 以前、盛り場で 子どもを見つけては、声をかけている先生の話を ラジオで聞いた。

薬物中毒になった若者の 更生に、かかわって来たと云う。

更生して 主婦になった人の声が、(仕事に行く夫を 送り出す声が)ラジオから 流れた。
『行ってらっしゃーい』

彼女は、ドラッグの誘惑と、一生 闘わなければならない。それほどまでに 麻薬は怖いと、先生は言った。

『イネーブラー( enabler )になるな、依存させるな』が、自分たちの仕事の鉄則と、語っていた。

少女が 苦しんだのは 分かった。
身近に 頼れる大人がいなくて、遠方の人に 助けを求めたのも分かった。

先生は最初、彼女と文通したと云う。
彼女の手紙が、読み上げられた。

薬物に毒された少女が、自分の状況・心情を、そんなに淡々と 書けるものだろうか?
…それが、最初の疑問。

(助かるためなら 何でもするさ。詩的な文章も 書くだろう、才能ある お嬢さんなら)

哀しみより、物凄い したたかさを感じた。

(良かったね。私も 若い時に、助けられたかった。健康になって、好きな人と 暮らしたかった)
(嫉妬から、彼女を 歪めて見ているのか 私は?)

彼女は 最近も、先生に電話して、言ったそうだ。
『先生の声を 聞いたから、頑張れる』

えっ?…主治医や夫君の 立場は?

書籍化・ドラマ化された 彼女のその後(実人生)には、主治医の自殺や、妹の薬物依存が あったと云う。

(嫌な予感が 当たってしまった)

不幸な(現在進行形の)物語を、そのまま 世に出す べきじゃない。そんなことをしたら、まわりの人が傷ついてしまう、…と思えて ならなかった。

この物語のヒロインが、最初から こうなる展開を 読んでいたように、思ってしまう 私が怖い。

(してやったりと笑う 少女の幻)

昔、はじめて会った男が、私の『獲物』に見えて、うれしくなった記憶がある。(吾ながら 変だった)
速攻で ふられたけど、その後 つきあって、お互い ボロボロに。…

あのときの私に 似たものを、彼女に感じる。
(この感覚が、私の狂気から来ているなら、不便だから癒したい)

enabler (可能にする者)…心理学用語では、悪い奴のことかもしれないけど、
コンピュータや ビジネスの世界では、物理的な意味で 使われている。

専門用語は 市井の人の言葉とは、意味が違うことがある。
専門用語を 一般社会に持ち込む人は、心してかかるべき(責任重大)かと。

【可能にする人】は悪?
(それは日本語として何か変です)

『enabler になるな』を 合言葉にするのは、かえって危険な気がする。