私の部屋の前には、プランターに自生した木(コナラか? ミズコナラか?)が、
上方だけじゃなく、水平方向にも枝を伸ばしていて、
通路の障害物になっていたのは、事実だった。
樹齢2年目くらいの頃に、山に住んでる人に引き取ってもらおうと考え、
ポット苗にしておいたものの、私が忙殺されているうちに数年が過ぎ、
木はポットの下のプランターいっぱいに根を張り、大木になりつつあった。
管理人さんとしては、『防犯上けしからん』と思われたのかも知れない。
『軒下を、庭のように使ってはならない』とか、
『通路なので、野菜や花などを直に植えてはならない』と 注意されてから、
15年くらい経過していたので、私も油断していた。
3日前に 気づいたら、プランターが 横倒しになっており、根が千切れ、
幹は真ん中あたりで、切断されていた。
落葉樹だった。この土地本来の潜在自然植生からは、外れているけど、
この木の新芽、若葉は柔らかく、まばゆい うぶ毛が生えていて、
触ると、とても穏やかな気分になる。
私にとって その木は、家族のような 生命体だった。
たとえ『防犯上は 許されない、邪魔な雑木』だったとしても。
驚いたのは、実が1つ ついていたことだ。
たったひとつの その実(どんぐり)が、愛の塊のように思えるのは、
私の気のせいじゃないだろう。
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