歌の世界を 虚構と 割り切れるなら、…
不道徳な話(不倫など)や、まじない(あえて 不吉なことを 語り、吉祥を招こうとする 言い方など)入りの歌を 毛嫌いするのは、野暮かもしれない。
けど、歌くらいしか 娯楽(続けられる楽しみ)が ない者もいる。
そう云う者の歌は、純粋でないと 困る。
◆ 閑古鳥が 鳴いてる酒場で、よく「かなしみの岸辺」を 唄っていた私は、浜田省吾が 好きだった。
彼の 歌の世界に、どれだけ 救われたか 分からない。
けど、彼の詩には、たまに 不倫が出てくる。
そう云う歌を 覚え、ときおり『無意識に』唄ってしまう 自分が、哀しい。…
(昔、この人の 不倫報道があった。事実か否かは、知らないけど、『無器用そう(嘘が 下手そう)な人』が、不倫の歌を 唄うことを、『凄い 反社会的行為』と 感じていた 私は、奥さんが 可哀想などと、不快に思った)
◆ さだまさしが 好きだった。
落語研究会出身の 彼の話(深夜放送)に、どれだけ 笑わせてもらったか 分からない。
だけど、この人の詩には、ときどき ついて行けない。
『思い出の人』に、支えられて、『私の人生、…私が主人公』と うたう歌がある。
中学の担任は、その歌で、生徒を 叱咤激励した。
けど、…家族に、死んだ方が いい存在のように 扱われていた 私には、…
能天気そうな 教師も、そのような歌を うたい上げる歌手も、異次元の人に 思えた。
彼のラジオを 聞くようになり、バイオリンの音色が 苦手では なくなったけど、…
『遠くない未来に トキが絶滅する』などと、神のように唄う この歌手に、怒りを感じた。
(私は 鳥が、人間より ずっと好きだった)
◆ 一夜の夢として、舞台上で 披露するだけなら、反社会的ドラマも、暗い予言も 構わない。
だけど、…不幸な予告 入りの、美しい旋律の 歌を、商品として 売るのは、いい趣味とは 思えない。
(そう云う歌を 覚えて、『無意識に 唄ってしまう 貧者の心』は、とても 悲しいから)
◆ 坂本九さんの 歌は、安心して聞ける。
「砂漠の恋の物語」と「ゆうやけの空」と「親父(おやじ)」が、特に好き。
「砂漠の恋の物語」は、《ダニー飯田とパラダイス・キング》時代の コミック ソング。
純情な 王子さまが、「手鍋 提げても、生き抜く」と、貧乏を覚悟して、恋しい人を 追って行くのを、
パラダイス・キングたちが、応援する。…
「ゆうやけの空」は、九ちゃんが 唄うから、本当に 思える。
「親父(おやじ)」は、作詞も 作曲も、坂本九さん。
親父さんは、息子の「飲み方が なっとらん!」と、雷を落としてばかり。
「かあちゃんを 泣かすな!」
「親孝行の 真似して 飲むな!」
「親より先に 酔っ払って、だらしがない! それでも男か!」
拳骨で 殴ること、4度。(その意図を 理解する 息子は偉い)