過日、●●●市へ参りました。
遊びに行ったのです。
交通費は、バスカードと 回数券を使い、水は携帯し、現金は 200円(入場料)で 済みました。
以前から 見たかったものを、見に行くのだから(素晴らしい絵を 撮した写真と、おそらく 多分 ルーマニアの 美人の写真も 見られるだろう)、
…うれしい筈なのに、
何故か、心が 重かったです。
睡眠不足に 猛暑が重なり、ふらつき気味でしたが、
来週末では、もう 回数券が 使えません。
人生を、気合いで 乗りきって来た 私のこと。
行くと決めたら、行くのです。
高原に 向かうバスで よろけて、左手をぶつけました。
高原から 離れるバスで よろけて、右の脛(すね)を ぶつけました。
ずいぶん痛い 遠足だな。…
…そう云えば、師範が 生涯を終えたのは、この地でしたね。
先生が アルツハイマーと 判明したのは、
奥さまが 大怪我をされ、離れて 暮らしていた娘さんが、異変を知り、
医師の診断を、受けたからでしたね。
奥さまは、娘さんに、隠していたと おっしゃいました。
数年前から 始まった、先生の ボケ症状、
夜の徘徊や、人が変わったようになり 暴力を振るう ことなどを。
隠さなければ、早期治療 出来たかもしれない。
でも、奥さまには 分かっていらしたのです。
娘さんが、先生の 病を知れば、夫婦が 離れ離れに なることが。
娘さんの 行動は、迅速でしたね。
仲のよい 夫婦を、引き剥がして 片方(ボケた方)だけを、施設に入れるために、
『夫婦で 引っ越す。お母さまは、怪我の手術が 済んだら行く』と言って、先生を 騙しました。
認知症患者 専用の グループ・ホームには、家族が入居するスペースなど、なかったのに。
奥さまは、怪我が治ったら、毎日でも通うつもりでしたね。
弟子たちも、できる限り、面会に行くつもりでした。
尊敬する 師範に、会えなくなるのは 嫌でした。
だから、施設の スタッフの 指示には、逆らいませんでした。
『面会には、なるべく来てあげてほしい』と言われ、面会時間も、スタッフの都合に 合わせました。
先生に 会わせて戴く前に、毎週のように、約1時間ほど スタッフの 愚痴を、拝聴しました。
毎週のように、スタッフに 手土産を持参し、先生に 会いに行きました。
ある日の面会は、玄関先に、先生を 呼ぶかたちで、行われました。
話が終わり、
来週また 参りますと、挨拶を 済ませ、スタッフさんを 呼びました。
スタッフさんは、そこで、過ちを 犯しましたね。…
先生を、自室に 送ってから、
次週の 面会の予約を 入れるべき、だった。
【病人を 最優先すべき】だったのに!
先生を、階段の下に 立たせた 状態で、
自分の シフト表を、取り出したのでした。
先生の顔色が、変わるのが 分かりました。
あのとき、介護スタッフに どう言えば 良かったでしょう?
『スタッフに 疎まれたら、先生に、会えなくなる』と 恐れ、私は 何も言えませんでした。
申し訳 ございませんでした。
次週から、私は 面会禁止に なりました。
私が 帰った後、先生が 暴れたから、と云う理由でした。
他の弟子も(息子同然の 師範代 以外)、面会禁止に なりました。
奥さまさえ、面会を許されませんでしたね。
(帰りたがっては、困るからと)
そのうち、手紙も 禁止されました。
スタッフさんは、約束してくれました。
『落ちついたら、施設に慣れたら、穏やかに面会できる日が、必ず来ます。その日が来たら、必ず連絡します』と。
奥さまを 訪ねて、私は 寂しさを 紛らわせました。
奥さまには、いつも、
「行ける日が来たら、一緒にいきましょう」と、励まされました。
3ヵ月を過ぎても、施設からは、連絡が ありませんでした。
奥さまが、面会できたのは、
先生が衰弱して、●●●市 郊外の病院に、移された後だった そうですね。
私が、最後に お会いしたのは、
面接を禁じられた 夏から、半年以上過ぎた、春でした。
施設の『求人』に 応募し、面接に こぎつけ、施設内に 立ち入る 機会を得て、…
ひとりで、空を 見つめる 先生の横顔を、遠くからですが、拝見いたしました。
帰りに、施設の玄関で、(必ず連絡すると、私に 請け合った)スタッフさんに、出くわしました。
『どこかで お会いしましたか?』と 聞かれました。
「いーえ」と 微笑んで答えましたが、私は 憤死しそうでした。
いくら 忙しくても、
自分から約束したことは、守るのがプロでしょう?
約束した相手の 顔も忘れるって、どう云うこと?
あの約束は、最初から『嘘』だったのでしょうか?
スタッフとしては、採用されませんでした。
(有資格者が、たくさん応募してきたそうで)
心は、先生の 近くに いたくても、
体力的には、勤まらなかったと思います。…
でも 万一、採用してもらえたら 首になるまで、働かせて戴く覚悟でした。
(滅茶苦茶でした)
…光化学スモッグの、警報か 注意報が、発令されたようです。
(それらしい放送が、空に向かって 流されたようですが、はっきりとは、聞き取れませんでした)
しかし、そろそろ 出かけねばなりません。行って参ります。